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レチノール配合の化粧品って本当に効果があるの?

レチノール配合化粧品ってホントに効果あるの?

欧米では40年以上前からニキビ治療薬として認可され、スキンケアの成分として用いられてきた歴史も長く、美肌に欠かせないとされている「レチノール」に、ここ数年スポットライトが当たっています。

それもそのはず、2017年に厚労省がレチノールを医薬部外品成分としてシワ改善の効果があると認めたからです。

シワや肌のハリ改善、くすみ対策など、年齢とともに気になる肌の悩みをケアしてくれるとあって、化粧水や乳液、クリームタイプのレチノール入り化粧品が販売されており、お値段もプチプラから高価なものまでさまざまです。

レチノールは食事からの摂取で十分

レチノールとはビタミンAのことで、体内の活性酸素の働きを抑える作用を持つ脂溶性(油に溶けやすい)の抗酸化ビタミンです。

ビタミンAはヒトの体内では合成されず、豚レバーやウナギ、バター、などの動物性食品に多く含まれ、体のなかに入ったビタミンAは脂肪とともに小腸から吸収されると、ほとんどは肝臓に蓄えられ、そのほかは血液によって心臓や肺、腎臓などの各組織に運ばれていきます。ビタミンAは体のなかでは3つの活性型「レチノール・レチナール・トレチノイン(レチノイン酸)」として存在しています。

主に、皮膚や粘膜を健全な状態に保ち、抵抗力を強めたりする働きがあります。

また、ニンジンなどの緑黄色野菜に含まれるβ-カロテンを摂取すると、ビタミンAの前駆体(プロビタミンA)として体内に貯蓄されます。

体のなかでビタミンAが不足すると、プロビタミンAから必要な分だけビタミンAが作られます。

プロビタミンAとされているものはαカロテン、βカロテン、βクリプトキサンチンなどで、これらはカロテノイドと呼ばれ、赤や黄などの色素成分です。

カロテノイドは、植物が紫外線による活性酸素から自らの身を守るために生成している抗酸化物質であり、活性酸素の発生を抑え、取り除く作用を持っており、活性酸素の働きで作られる過酸化脂質が引き起こす動脈硬化を予防したり、老化やがんの発生に対しても効果があると考えられています。

このようなカロテノイドの紫外線によるダメージへの有効性は、ヒトの体内においても有効に働くという臨床報告も多数あります。

参照)https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/food/ye-007.html

https://www.yukari-clinic.com/information/%E3%82%B5%E3%83%B3%E3%83%97%E3%83%AD%E3%83%86%E3%82%AF%E3%83%88/

このように、ビタミンAは動物性のレチノール、植物性のプロビタミンAとして体内に貯蔵されているため、現代の食生活においては、ビタミンAが不足することはほとんどないと言われています。一方で、ビタミンAは脂溶性ビタミンでもあるため、体に貯蔵されやすく、過剰摂取には注意が必要です。

参照)https://www.morinaga.co.jp/protein/columns/detail/?id=186&category=health

紫外線による光老化とレチノール

紫外線には波長の長いA波(UVA)と、短いB波(UVB)、最も短いC波(UVC)があります。UVCは、現時点ではオゾン層に守られているため地球には到達しません。

波長の長いA波は部屋の中にいても窓ガラスを通り抜け、肌の表皮を突き進み、真皮にまで到達します。そして真皮のコラーゲン繊維とエラスチンを破壊し、肌のハリや弾力が無くなり、たるみやシワの原因になります。

波長の短いB波は、肌の表皮の色素細胞(メラノサイト)を活性化させて多量のメラニンを生成し、日焼けをさせるものです。エネルギーが強く、表皮細胞の遺伝子に傷をつけ、シミや皮膚がんの原因になります。

このような紫外線による肌への影響により年齢を重ねて生じる自然老化とは異なる現象を光老化と言います。

参照)http://www.golsen.jp/ultraviolet/kindofu.html

レチノールはすこやかな肌のコンディションを保つために必要な成分です。

食事から摂取すると体内で分解され、最終的にはトレチノインとなり、血液によって必要とする臓器に運ばれるため、血液中にはごく微量のトレチノインが流れています。肌では、表皮との境目である真皮乳頭層を流れる血管から表皮にたどり着いたトレチノインが角化細胞を活性化させ表皮に厚みを出したり、角化細胞間や角質にヒアルロン酸などの粘液性物質を沈着させやすくして表皮を水分で満たします。

また、肌に存在するレチノールは、紫外線を浴びると紫外線の光線エネルギーを受け止め、細胞の損傷を防ぐ働きがあると考えられ、天然の日焼け止めといわれています。

参照)https://a-care.net/archives/special/527.html

つまり、紫外線を浴びるとレチノール自らが犠牲となり壊れることで紫外線をブロック、真皮深層部への侵入を防ぎ、その効果はSPF20ほどの作用を持つと言われているのです。

参照)https://www.rei-beauty.com/blog/article/%E3%82%A8%E3%83%B3%E3%83%93%E3%83%AD%E3%83%B3%E3%81%AE%E3%83%93%E3%82%BF%E3%83%9F%E3%83%B3a%E3%81%AE%E8%80%83%E3%81%88%E6%96%B9/

そのため、光老化を防ぐためには内側からと外側からの2つの方法で常にレチノールを補給することが必要だと考えられています。

内側からの補給法は、ビタミンAを豊富に含む食品を毎日の食生活でしっかり摂取すること。外側からの補給法は、毎日のスキンケアによって皮膚の外側から取り入れること(経皮吸収)です。

化粧品に配合されたレチノールの役割

レチノールは、熱や光、酸素、金属イオンに対して非常に不安定な性質を持っています。

そのため、ヒトの生体内において、レチノールは高級脂肪酸※1であるパルミチン酸と結合し、パルミチン酸レチノールの形で貯蔵されており、

パルミチン酸レチノール → レチノール → レチナール →トレチノイン(レチノイン酸)

このように酸化による変換を経て、最終的なトレチノインへと必要に応じて変換されます。表皮でのヒアルロン酸の合成の促進やターンオーバーの促進、真皮でのコラーゲン産生の促進によるシワへの効果などは、トレチノインへと変換されてからその生理活性を発揮することが知られています。

※1)高級脂肪酸とは、化学構造的に炭素数12以上の脂肪酸のことをいい、炭素数が多いとそれだけ炭素鎖が長くなるため、長鎖脂肪酸とも呼ばれます。

参照)https://cosmetic-ingredients.org/aging-care/%E3%83%91%E3%83%AB%E3%83%9F%E3%83%81%E3%83%B3%E9%85%B8%E3%83%AC%E3%83%81%E3%83%8E%E3%83%BC%E3%83%AB%E3%81%AE%E6%88%90%E5%88%86%E5%8A%B9%E6%9E%9C%E3%81%A8%E6%AF%92%E6%80%A7/

https://www.rei-beauty.com/blog/article/%E3%82%A8%E3%83%B3%E3%83%93%E3%83%AD%E3%83%B3%E3%81%AE%E3%83%93%E3%82%BF%E3%83%9F%E3%83%B3a%E3%81%AE%E8%80%83%E3%81%88%E6%96%B9/

厚労省により医薬部外品として認可されたレチノールは、アメリカでシワの改善薬として使用されているトレチノインと比べると、その生理作用は約100分の1しかありません。さらに、化粧品として配合を認められているのは、100gあたり25万国際単位(重量換算で約0.04%)までのため、レチノール配合の化粧品でのトレチノインのような効果は期待できません。

化粧品では、レチノールの不安定な性質により、レチノールを安定化させたレチノイド※2というビタミンA誘導体(ビタミンA類似物質)で使用されています。

レチノイドのうちパルミチン酸レチノールや酢酸レチノールなどのレチニルエステルと呼ばれるものは安定性が高く、肌への刺激が少ないため、多くの基礎化粧品に使われています。

しかし、パルミチン酸レチノールはその安定さゆえにトレチノインへの変換が容易ではなく、その結果、シワの減少や肌の弾力性向上に対する効果は極端に低下します。

その代わり、化粧水やクリームに配合されたパルミチン酸レチノールを毎日肌に塗ることで、表皮の角質層でのレチノールの濃度が上がり、レチノール自体の紫外線ブロック効果により肌自体を紫外線に強くさせるというのが基礎化粧品に配合されたレチノールのもう一つの役割と考えられています。

つまり、パルミチン酸レチノールに期待する主な作用は、皮膚内で加水分解を受けることによるレチノール(最終的にトレチノインにまで変換される)の作用だけではなく、パルミチン酸レチノール自体が紫外線を吸収し、自爆することで紫外線をブロックするという、二つの役割として日々のスキンケアでレチノールを肌に貯蔵しておくのです。

※2)レチノイドとは、レチノール、レチノイン酸、パルミチン酸レチノール、酢酸レチニル、リノール酸レチニルなど、皮膚に使用されるビタミンAのすべての誘導体の総称のこと。それらすべては皮膚に塗布された後にトレチノインへの変換プロセスを経る必要があります。

参照)https://www.rei-beauty.com/blog/article/%E3%83%93%E3%82%BF%E3%83%9F%E3%83%B3a%E3%81%AF%E7%B4%AB%E5%A4%96%E7%B7%9A%E3%81%AB%E5%BC%B7%E3%81%8F%E3%81%AA%E3%82%8B%EF%BC%9F%E5%BC%B1%E3%81%8F%E3%81%AA%E3%82%8B%EF%BC%9F/

https://www.harpersbazaar.com/jp/beauty/beauty-column/a34019548/what-is-retinol-200915-lift3/

http://www.cyclochem.com/cyclochembio/watch/watch_025_03.html

正反対な働きをするレチノール

確かに、パルミチン酸レチノールにはSPF20程度日焼け止めの効果があると言われています。

一方で、レチノールには表皮角質層のターンオーバーを促進させることで顔の皮がむけるというレチノール反応というものがあります。これによって一時的に角質層が薄くなるため、皮膚のバリア機能が低下するため、クリームなどを塗り、スキンケアでしっかりと保湿をする必要があります。化粧品に配合されるレチノールの濃度は薄いとはいえ、必ずしもレチノール反応が起こらないとも言い切れません。

レチノール配合の化粧品を使う際には、その成分がパルミチン酸レチノールであってもUVケアを疎かにせず、しっかりと日焼け止めを塗りましょう。

食事で十分にレチノールを摂取することが大前提ですが、それでも不安な場合はスキンケアでパルミチン酸レチノール等が配合されたものを使用するのもいいでしょう。その上で、日焼け止めを塗る。

UVケアは真皮のコラーゲン繊維やエラスチン等を生成する肌細胞の守るためにも必要不可欠です。

レチノール配合の化粧品を使用する際には、化粧品の容器に記載されている成分表示が、レチノールなのか、パルミチン酸レチノールなのかによってその効果と役割が変わってくるということも知っておくと、より健やかな肌を保つことができるようになるのではないでしょうか。

参照)https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%AC%E3%83%81%E3%83%8E%E3%82%A4%E3%83%89

 

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