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再生医療の安全性について

「肌の再生医療」は、根拠(エビデンス)に基づく医療です

最近、根拠(エビデンス)に乏しい医療の存在が、特にがん治療(免疫細胞療法、遺伝子治療)で社会問題化しています。
開発されたばかりの「新しい治療法」は、時間をかけ症例数を重ねることでエビデンスを蓄積してゆきます。当然、「新しい治療法」の中には、エビデンスを蓄積できず消えてゆく治療もあります。むしろ、エビデンスが無いとして消えてゆく治療の方が圧倒的に数は多いのです。星の数ほどある「新しい治療法」がエビデンスというふるいにかけられ、選りすぐられた治療のみが標準治療と呼ばれます。
残念なことに「標準」という日本語には「並」とか「平凡」とか「松竹梅のなかの竹」というニュアンスがあります。このニュアンスのせいで「標準治療」とは、「最良の治療には及ばない治療」もしくは、「最良ではない並みの治療」という誤った感覚を我々に抱かせてしまうのです。しかし、「標準治療」とは英語の「standard therapy」を機械的に訳しただけで、そもそも「standard therapy」には、「最良の治療」、「最も優秀な治療」というニュアンスが含まれています。「standard therapy」とは、時間をかけ、多くの専門家の厳しい目に晒されエビデンスを蓄積した治療、すなわち「最良の治療」、「最も優秀な治療」なのです。

※根拠に基づく医療(こんきょにもとづくいりょう、evidence-based medicine, EBM)とは、「良心的に、明確に、分別を持って、最新最良の医学知見を用いる」("conscientious, explicit, and judicious use of current best evidence") 医療のあり方をさす。エビデンスに基づく医療とも呼ぶ(ウィキペディアより抜粋)

治療に関する根拠論文より

1) Watson D, Keller GS, Lacombe V, Fodor PB, Rawnsley J, Lask GP. Autologous fibroblasts for treatment of facial rhytids and dermal depressions. A pilot study. Arch Facial Plast Surg. 1999 Jul-Sep; 1(3):165-70.
1999年発表。培養した自己真皮線維芽細胞が、顔のしわ・たるみ、陥没などに有効か10人の成人に対して(age range, 24-69 years)治療を行い、6ヵ月後に効果判定(写真、皮膚のシリコン鋳型模型)と、治療部位の顕微鏡的な検査を行った。結果、10人中9人が60%−100%の改善を示した。すなわち、しわが減少し治療部位の真皮コラーゲンが増加していたため、この治療は有効であると結論できた。
参考論文01>

2) Boss WK Jr, Usal H, Chernoff G, Keller GS, Lask GP, Fodor PB. Autologous cultured fibroblasts as cellular therapy in plastic surgery. Clin Plast Surg. 2000 Oct; 27(4):613-26.
2000年発表。米国Isolagen社が行う「培養した自己真皮線維芽細胞」による治療は、3000人以上に治療を行い非常に良好な結果を得ている
参考論文02>

3) Boss WK Jr, Usal H, Fodor PB, Chernoff G. Autologous cultured fibroblasts: a protein repair system. Ann Plast Surg. 2000 May; 44(5):536-42.
2000年発表。培養した自己真皮線維芽細胞による治療は、皮膚の皺だけではなく、にきびや妊娠線にも有効である。これらの事実は現在までにアメリカだけで1450人、ヨーロッパを含めた全世界で4800人が培養した自己真皮線維芽細胞による治療を受けている。この治療の学術的に中心となった大学は、米国New Jersey大学医学部、Hackensack大学医学部で、94人の長期フォロー(3年―4年)を行った。92%にも上る人が満足と答え、70%の人が長期的にも満足のいく治療と答えた。
参考論文03>

4) Weiss RA, Weiss MA, Beasley KL, Munavalli G. Autologous cultured fibroblast injection for facial contour deformities: a prospective, placebo-controlled, Phase III clinical trial. Dermatol Surg. 2007 Mar; 33(3):263-8.
2007年発表。培養した自分自身の真皮線維芽細胞が、顔のしわ・たるみ、陥没などに有効な治療であるという報告・症例が現在(2007年時点)まで数多くなされてきている。培養した自己真皮線維芽細胞による治療が米国で正式な治療となるためにFDA(米国厚労省)に申請する最終臨床治験(フェーズ3)を行いった。臨床試験は厳格にFDA(米国厚労省)の求める二重盲検法(注)を215症例に行い、安全性・有効性に対して非常に良好な結果を得た。

注)二重盲検法:外見からは見分けのつかない、① 培養した自己真皮線維芽細胞の入った注射と、② 培養した自己真皮線維芽細胞の入っていない注射を用意し、検査コーディネーターだけが、どの患者に本物の治療(① )をしたかを知っている。治療患者はもちろん治療担当医師も、自分が使っている注射器が本物(① )か、偽者(② )か知らずに治療をし、治療を受けているため、偏見に惑わされること無く、本物の正確な治療効果測定ができる。
参考論文04>

5) Zhao Y, Wang J, Yan X, Li D, Xu J. Preliminary survival studies on autologous cultured skin fibroblasts transplantation by injection. Cell Transplant. 2008; 17(7):775-83.
培養した自己真皮線維芽細胞による治療は皮膚にどの程度のコラーゲンを作るのかウサギを用いた動物実験を行った。ウサギの治療部位を採取し、顕微鏡での検査を行った。結果はタイプ1型コラーゲンよりも、3型コラーゲンが多かった。皮膚の大きなしわは1型コラーゲンが関与し、細かなしわは3型コラーゲンが関与しているため、培養した自己真皮線維芽細胞により治療は、細かなしわ(ちりめん皺)により有効であると考えられる。
参考論文05>

6) 培養真皮線維芽細胞移植による顔面皮膚の若返り術
参考論文06>

妊娠中の肌の再生医療について

妊娠は女性にとっても家族にとっても人生の中で最も重要なイベントの一つかもしれません。しかし、どんなに医学が発達しても、死産、流産、先天異常などを無くしてしまうことは出来ません。残念ながら、これらはある一定の確率で発生してしまいます。
さらに、死産、流産、先天異常などを経験された方のほとんどは、自身の妊娠前のイベントをこう思ってしまうのも事実です。精神的に追い込まれる方もいます。
「若いころ、コンビニ弁当を電子レンジでチンして食べてたからだ」
「あの時、着床してるとは知らずに風邪薬飲んじゃったからだ」
もちろんこれらのイベントが、死産、流産、先天異常などと医学的な関連があるとは証明されていません。しかし、逆に言えば、医学的な関連が無いことなどは絶対に証明などできませんので、このように思ってしまうのかもしれません。
妊娠の可能性のある方が肌の再生医療を受け、後に死産、流産、先天異常などのイベントを経験してしまった場合「こんな治療(肌の再生医療)を行ってしまったからだ」そう、心理的に思ってしまうことは想像に難くありません。そして、場合によっては精神的に追い詰められる事態にもならないとも限りません。もちろん妊娠に関しても「肌の再生医療」は非常に安全な治療です。ですが、肌の再生医療に限らず、歯科治療、風邪薬すべての医療行為が妊娠期間中に行わない方がいいとされるのは、当該医療行為が、妊娠にとって非常に危険だからという訳ではなく、余計な精神的負担を負ってほしくないという側面の方が強いのです。

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